実家の壁と駐車スペースの間、庭へと続く小道に、秋になると咲く赤い花がある。
その赤い花は家族との記憶の端々にさり気なく寄り添っている。
嫌気がさした時も笑っていた時も、死にたいって思ってた時も幸せ過ぎた時の思い出にも。
花を咲かせない時期でも私には、いつでも赤く映った。

「 サ ル ビ ア 」

確か母から教えてもらった花の名には、ここにしかない特別な花に思える響きがあった。
この感情を消そうと撮っていた写真を「愛」だなんて感じるようになった自分に驚くと同時に
あらかたの愛の在り方は共通してるんじゃないだろうかって至極眈々と思う。
特別だと感じたサルビアがどこにでもある花であるように。
けれど、私にとってのサルビアの意味は誰とも違う。
そんなふうに人は人を愛すんじゃないだろうか。



2014




   

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